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がん治療医がたどり着いた「病気の真実」 ~遺伝子検査~ その3
さまざまな疾患や障害に、遺伝要因と環境要因がそれぞれどのくらい影響するかを示したものだ。
環境も、直接的にあるいは間接的にリスクに影響していることを覚えておいてほしい。

環境は、食事や運動から汚染物質、ストレスに至るまで、重なり合う要因を伴っており、最終的には良くも悪くもあなたが受け継いだ遺伝子に影響を与え得る。
「遺伝」と記したのは、遺伝的に受け継いだリスク要因であり、その疾患の原因遺伝子というわけではない。
それ自体が引き起こすわけではなく、遺伝子プロファイルによってリスクが高いとわかっても、環境面をコントロールすれば、生涯リスクを大幅に減らすことができる。

この区別は重要である。
DNAと健康の話になると、あまりにも多くの人が運命論者的な見方をしてしまうが、環境の違いがすべてを決める場合もある。
その「環境」には、文字通りの環境だけでなく、細胞レベルでの環境も含まれ、その微細な環境は、薬の効き方や、治療に対する反応に影響を及ぼす。

遺伝子を変えることはできないが、遺伝子に影響する環境を変えることはできる。
そのことを理解していただくために、「卵の概念」をご紹介しよう。

卵を室温で数週間放置したら、卵は腐る。
しかし同じ卵を37.5℃の環境において、日に3回、回転させれば、ひよこが生まれるのだ。(注=どういうわけか、回転は奇数回でなくてはならない。)
ちなみに「百年卵」と呼ばれるピータンは、泥と灰と塩と石灰ともみ殻を混ぜたものの中に数週間から数カ月漬け込んで作る。
特定の成分に触れることで卵がピータンになることは、環境こそが一番大切だという主張を裏づけている。

この簡単な実験は、環境の微妙な違いが重大な影響を及ぼすことを示している。
私たちの身体システムのわずかな変化が、全身に劇的な影響を及ぼすことがある。
しかし、私たちは往々にしてそのような変化を見逃しがちだ。

おそらく、環境が生物に及ぼす影響の強さを最もはっきり示すのは、薬の作用である。
2009年2月に『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』誌に掲載された臨床試験の結果は、悪性の乳がんを患う閉経後の女性を対象として行ったものだ。
「ホルモン受容体陽性乳がん」の標準的な治療は、エストロゲンを抑えるために抗ホルモン治療が行われる。

しかし、ゾレドロン酸(骨粗しょう症の治療)を投与されたグループは、がんの再発率が36パーセントも減少した。
この事例は、環境(骨。乳がんは骨に転移する)を変えれば、種(乳がん細胞)の発芽を抑えられるということを語っている。
ゾレドロン酸は、被験者の身体システムを変化させ、間接的に、がんに目覚ましい影響を及ぼした。
5年後、これらのがん患者の生存率は98パーセント以上だった。
さらに驚かされるのは、この結果が抗がん剤を用いずに成し遂げられたことだ。

つまり薬は体に複数の影響(良いものか、悪いものかは別として)を及ぼし、健康あるいは病気の土台となる体内環境を変えるのだ。

日本運動器疼痛学会、NGUリハビリテーション研究会 会員 土田晶子


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