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体からのサイン 〜日々アンテナ張ろう〜
 
中日新聞 朝刊 「安らぎをあなたに 保健師からの応援歌」より
NPO法人「ほっとスペースゆう」理事長・保健師 工藤充子


 私たちの体の手や足、く幹[くかん](頭部や四肢を除いた体の部分)、脳などからは、さまざまなサインが出ています。

日ごろからそれらを見落とさず、早い時期に上手な対応や処置ができれば、大事に至らずに済みます。



 今回は私たちに日本の歴史や住んでいる町の成り立ちを教えてくださるご近所の物知り博士、75歳の石井さんの体験をお話ししましょう。



 夏が近づいた蒸し暑い昼下がり。

石井さんは昼食を済ませ、ソファに移動しようと立ち上がりました。

右足の運びが少々ぎこちなかったのですが、何とか歩いてソファに座ることができました。



 ところが、右手をテーブルに置こうとしたところ、ぐにゃっとなって手に力が入りません。

異変を知らせようとしたのですが、口がしびれ、ものがはっきり言えません。

よだれも出てきます。



 これはおかしいと気づいた奥さんは、すぐに119番。

食事の時は口をよく動かし、箸も上手に使い、何事もなかったので、発作が起こったのは食後30分ほどのことでしょうか。

それから救急車が来るのに15分、診察までが30分、合計75分かかりました。



 石井さんの診断名は脳梗塞(こうそく)。

脳梗塞は、くも膜下出血、脳内出血とともに脳卒中と呼ばれる疾患です。

脳の血管が詰まったり、狭まったりすることによって、血液の流れが低下し、酸素や栄養素が脳組織にいきわたらなくなって、脳の細胞が死んでしまうことです。



 そうすると、脳からの指令が末端へ伝えられなくなり、意識や四肢などにさまざまな障害が起こります。

幸いにも石井さんは、静脈注射によって、3日間だけの入院で劇的に回復しました。

「発見から3時間以内」の脳卒中なら、持続的静脈注射で後遺症を残さずに済むこともあります。



 脳卒中の発見は、体の片側の麻痺(まひ)・顔の麻痺・言葉が出にくい・見える範囲が狭まる−などの初期症状を見逃さないことが重要です。

40代で脳卒中を公表した俳優さんもいて、成人から高齢者まで注意が必要です。



 日ごろから、自分の体と心をよく知っておくこと。

おかしいなと思ったら、すぐに専門医の診察をうけましょう。

(原文のまま)